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疲れたときはバップではなくてSwing Jazzのほうがよい。

レコーディングダイエットの真似をして少しでもCDにかかわる出費を抑えようと昨年は購入したCDをすべて記録していたところ、レコーディングダイエットの成果はほとんどなかったが、そのかわり昨年は年間で109枚のCDを購入していることがわかった。レコーディングダイエットはそういうわけでまったく抑制になっていたとは思えないので、毎年この調子でCDを購入し続けていたとするといま現在所有するCDは2000枚になっている計算になる。さすがにジャズばかり2000枚のCDを持っていると休日でもまったく退屈することはない。本棚のなかから適当に「○○ジャズ入門」とか「○○ジャズ名盤」などのタイトルの付くジャズ関連書を取り出して、適当に頁をめくったところに目についたCDを棚から取り出して、解説を読みながら聴いていれば十分一日が過ごせるのである。それに、普段、なにげに流しているだけのCDとこうしてじっくりと向き合う時間は結構貴重なものでもある。

 年末の大掃除の合間に空いた時間をそうやって過ごしていたところ、持っていると思っていたは名盤が、実のところ結構棚に抜けていることに気づいた。カウント・ベイシーの名盤“ベイシー・イン・ロンドン”は確かどこかにあったかと思って探してみれば、“ベイシー・イン・パリ”であった。ジャケットの佇まいもよく似ている。スウィング・ジャズはベイシーとエリントのを数枚ずつもってはいるが、パーカーのエッッジの聴いたバップを聴いてしまうと、いまさらという思いがほんの少しあって真剣に聴くきになれなかったのだけれど、最近は少しばかり(年齢のせいでしょうか)気にするようにしている。疲れて帰った夜にマイルスやパーカーやコルトレーンの密度の高い演奏を聴く気になれないときにモノラルのスィングは最適である。年末買ったコールマンホーキンスを大晦日から元旦にかけて聴きまくっていたのである。

 結局、大晦日にネットに注文して元旦の夜に届いた。スィング感とはこういう演奏を言うのであるという教科書のようなCDではないかと思う。

 

 

 

ベイシー・イン・ロンドン+4

ベイシー・イン・ロンドン+4

 

 

 

 

ハービー・ハンコッックのDIRECTION MOLDE JAZZと秋の気配

jazz

夏を最後にブログを放置していたら秋を通り越してもう冬の手前に差し掛かっている。名古屋出張と仙台出張の合間に実家への帰省と某フォーラムの運営と登壇と、とても慌ただしく11月が過ぎてしまった。せっかく購入した秋のコートを着る時間などないほどに明日から寒くなりそうな気配だが、さて。

   *       *

ハービー・ハンコックブートレグ、DIRECTIONS IN MOLDE JAZZである。ハービー・ハンコックマイケル・ブレッカー、ロイ・ハーグローブがマイルスとコルトレーンの生誕75周年を記念して行なった2002年7月17日のノルウェー・ライブのサウンドボード録音。実は同じ企画のオフィシャル盤では2001年10月25日のトロント・マッセイホール・ライブ「Directions in Music」があるが、このブートレグの方が遥かに勝っている。

勝っていることの理由の一つは、オフィシャル盤のベースがジョン・パティトウッチなのに対して、ブートのベースがジョージ・ムラーツなのである。パティトウイッチがダメだというわけではない。むしろ、パティトウイッチは良いベーシストだ。だが、このオフィシャル盤のパティトウイッチは少し後ろにひき気味なのである。スローテンポ曲になるとほとんどベースの音が全面にでてこない。理由の2つ目は、ブートの方がハービーハンコックが圧倒的に弾きまくっている。全体のグルーブ感が全く異なるのである。したがって、オフィシャル盤はよく言えば全体的に穏やか、悪く言えば緊張感が、ない。

正直いって、僕はオフィシャル盤を持っていたことさえ忘れていたのだが、ブートレグを聴いたあとにCDラックからさがしだして、聞き直してみたらその差に愕然としたのである。

 

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マイルが溜まっている。

 気がついたらJALのマイルが63000も溜まっていた。数年前に使ったときは、結局飛行機がうまくとれなくて、JALクーポンに替えて、レストランで食事をした記憶がある。もっとも効率の良い使い方は、航空チケットに換えることだといわれているけど(そして、もちろんこれが本来の使い方)、使える時期や、有効期間が限られていたりしてなかなかつかいこなせない。マイルは貯めるよりも使うのが難しいと言われる所以だ。

 その、レストランで食事をした数年前から、見ることもなく放っておいたのだけれど、年に1、2回の帰省に加えて、毎月の公共料金引き落としをJALのクレジットカードで行なっていることもあって、いつのまにやら一人だけだったらとりあえずアメリカでもヨーロッパでも行けるだけ溜まっていたのである。

 まあ、実際には一人で行く訳にもいかないので連れ合いと2人で、3000マイルづつで行ける近場の外国か沖縄あたりになるのであろうが。

長野に印刷・製本が多いのはなぜか?

 とある出版団体の研修と会議に出席するために3日間の長野滞在。善光寺参りをして蕎麦を食べて連日の懇親会であった。宿泊のJALホテルは最上階のレストランに行くと遠くの山並みが見えて、風情がある。毎朝、朝食時には時間をかけて山菜料理を味わった。

 今回の研修のひとつは印刷・製本会社の見学も含まれている。長野には印刷・製本会社が多い。わたしは、岩波書店岩波茂雄みすず書房小尾俊人、筑摩書房の古田晃、理論社の小宮山量平と、出版社の創業者も多いから印刷・製本屋が多いであろう程度に思っていたのだが、見学させていただいた印刷・製本会社のみなさんの話によると、①関東大震災後に東京から移転させた、②松代大本営の付近に印刷・製本業を集中させたを、という歴史的理由以外にも、現在でも長野は③製本に使用するニカワの乾き具合が土地の湿度に適しているという利点がある、とのことであった。

 

 

 

夏休み前半にはKindleで4冊の本を買った。

 菊地成孔東京大学のアルバートアイラー』、つづいて最相葉月絶対音感』を読了し、米澤積信『王とサーカス』にとりかかる。3つともKindleで購入したが、なんと『東京大学〜』は固定フォーマットなので、文字の大きさを調整できない。PDFでは文字が小さすぎてとてもデバイスで読むことはできなかった。商品としてはいかがなものかと愚痴りながら、返品の方法もわかるわけもなく、仕方ないから文庫本で買い直した。そのほか、これもまたKindleで『反知性主義』を注文した、つもりであったが、よく見たらわたしが押したのは「購入」ボタンではなくて「予約」ボタンであったようだ。いつでもどこでも読みたいときに読めるはずの電子書籍に「予約」は必要ないだろう、と思う。

もしかしたら、電子書籍などというものはまだまだ我々の生活に根付いてはいないのではないかと思いながらも、いっぽうで『王とサーカス』はこの間書店店頭で平積みになっているのをさんざん目にしたの記憶が鮮明に残っており、今日Kindleで買ったのである。書店に高く積まれていた印刷本をみないことにはKindleだけではおそらく買うことはなかった。書店店頭がショウウィンドウ機能となって電子書籍を買うという購入パターンがすっかり定着してしまっている、ということ。

そんなこんなで半分過ぎた2015年の夏休みであった。

 

 

 

絶対音感 (新潮文庫)

絶対音感 (新潮文庫)

 

 

王とサーカス

王とサーカス

 

 

ジャズの印象批評

 多くの日本のジャズ研究は長い間、印象批評の域をでなかった。そのミュージシャンの人となりや人脈や師弟関係を取り上げ、その音楽との関係を記述する、往々にしてジャズメンの破天荒ぶりにフォーカスし、ドラッグが音楽に与えた影響などに言及するという作風が多かった。そのこと自体に罪は無く、音楽史というジャンルが成立するのであるから、そういう事実を実証的にたどってゆくのもれっきとしたジャズ批評であるとはまちがいないのであろうが、同時にジャズ研究においても音楽理論に基づいた研究がもっとなされてもよいはずである。日本のジャズ批評でこのような音楽理論に基づいた研究を行っているのはほんの数えるほどしかいない。

 図書館で『チャーリー・パーカー技法』を借りて、駅前の本屋で『憂鬱と官能を教えた学校』を買って、Amazonで『東京大学アルバート・アイラー』を購入する。

 『技法』はさすがに歯が立たない。いろいろ言われてはいるが、やはり菊地成孔はその意味で、現代におけるジャズ理論啓蒙家として第一人者であろう。だが、濱瀬氏の『技法』はまったくわたしには歯が立たない。気分はわかるのであるが。

 駅南口の、初めて訪れる喫茶店で少しのあいだだけ読書。

 

チャーリー・パーカーの技法――インプロヴィゼーションの構造分析
 

 

 

 

 

M-base派とMiles Okazaki

 1980年代にブルックリンのジャズミュージシャンが集って形成されたM-BASE派。当時、新伝承派とよばれるウィントン・マルサリスらの「懐古趣味」の演奏とは一線を画した、進歩的なこのグループを、わたしはよいと思って聴いたことがあまりなかった。伝統的なジャズから一歩進んで、しかしフュージョンやロックやヒップホップに傾倒するのではなく、あくまでもジャズの範囲に留まりつつ、そのあやうい変化を内在化する。そういった進歩的な姿勢には賛同するのだけれども、カサンドラ・ウィルソンジェリ・アレン、グレッグ・オズビーの音を聴くと、最初こそは聴き入ってもみるのだけど、すぐに飽きてしまうのであった。もっとも私がこのM-BASE派を聴いていたのは2000年前後だから同時代の評価はまたべつなものだったのかもしれない。

 そのM-BASE派の流れを汲むブルックリンのギタリスト、マイルス・オカザキのCDを購入した。例によってAPPLE MUSICでサーフィンをしてネットで注文。

 

Generations by Miles Okazaki (2009-04-07) 【並行輸入品】

Generations by Miles Okazaki (2009-04-07) 【並行輸入品】

 

 ■Miles Okazaki(g), Miguel Zenón(as), Thomas Morgan(b), Dan Weiss(ds)

 

 浮遊感のあるなギターに切れのよいアルトが切り込んでくる。やや実験的な色がありつつも、技巧派のギターで独特の世界観を形作っており、他の3人もそれに追随している好演である。マイルス・オカザキ自身はこれまでに3枚のCDを発表し、日系人を思わせるその名前から、日本でも数年前に「知る人ぞ知る」というマニア向けのギタリストして知られたようである。

 そういえば、ケビン・ユーバンクスもM-BASE派に近いところで活動していたようだし、それにグラスパー一派のなかにはM-BASE派の影響を受けているミュージシャンも少なくはないと聴く*1

 

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晴れ。気温が相変わらず上昇しているので外にでたら危険。自宅で『チャーリー・パーカーモダンジャズを創った男』を読み始める。この本は名著だなあ。

 

 

 

*1:M-BASE派が現代ジャズに与えた影響については柳楽光隆氏が「Mベースが今日のジャズにもたらしたもの」に記している