M-base派とMiles Okazaki

 1980年代にブルックリンのジャズミュージシャンが集って形成されたM-BASE派。当時、新伝承派とよばれるウィントン・マルサリスらの「懐古趣味」の演奏とは一線を画した、進歩的なこのグループを、わたしはよいと思って聴いたことがあまりなかった。伝統的なジャズから一歩進んで、しかしフュージョンやロックやヒップホップに傾倒するのではなく、あくまでもジャズの範囲に留まりつつ、そのあやうい変化を内在化する。そういった進歩的な姿勢には賛同するのだけれども、カサンドラ・ウィルソンジェリ・アレン、グレッグ・オズビーの音を聴くと、最初こそは聴き入ってもみるのだけど、すぐに飽きてしまうのであった。もっとも私がこのM-BASE派を聴いていたのは2000年前後だから同時代の評価はまたべつなものだったのかもしれない。

 そのM-BASE派の流れを汲むブルックリンのギタリスト、マイルス・オカザキのCDを購入した。例によってAPPLE MUSICでサーフィンをしてネットで注文。

 

Generations by Miles Okazaki (2009-04-07) 【並行輸入品】

Generations by Miles Okazaki (2009-04-07) 【並行輸入品】

 

 ■Miles Okazaki(g), Miguel Zenón(as), Thomas Morgan(b), Dan Weiss(ds)

 

 浮遊感のあるなギターに切れのよいアルトが切り込んでくる。やや実験的な色がありつつも、技巧派のギターで独特の世界観を形作っており、他の3人もそれに追随している好演である。マイルス・オカザキ自身はこれまでに3枚のCDを発表し、日系人を思わせるその名前から、日本でも数年前に「知る人ぞ知る」というマニア向けのギタリストして知られたようである。

 そういえば、ケビン・ユーバンクスもM-BASE派に近いところで活動していたようだし、それにグラスパー一派のなかにはM-BASE派の影響を受けているミュージシャンも少なくはないと聴く*1

 

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晴れ。気温が相変わらず上昇しているので外にでたら危険。自宅で『チャーリー・パーカーモダンジャズを創った男』を読み始める。この本は名著だなあ。

 

 

 

*1:M-BASE派が現代ジャズに与えた影響については柳楽光隆氏が「Mベースが今日のジャズにもたらしたもの」に記している