Lalah Hathawayの唄い方にバックバンドがあぜんとする様子

ここまで暑いと外出するのも身の危険を感じる。自宅でYoutubeを観てすごすのが賢明である。例によってコンテンポラリージャズの情報を物色していたら、柳樂光隆氏のFBで紹介されていたのがこの映像

 

www.youtube.com

 

 Lalah HathawayとSnarky Puppyのコラボ映像なのだが、中盤以降の全体のグルーブ感も凄まじいけど、その後に続くLalahのスキャットと、そしてなんといっても一瞬かいま見せる彼女の歌唱法、一人で複数の音階を同時に出す歌い方に、周りのミュージシャンが圧倒される様子がとても興味深い。

 Lalah HathawayはDonnyHathawayの娘。すこし掠れたハスキーな声質が父親と似ていてよい。

 

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 『ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?』読了す。故中山康樹の最後の作品。合掌。

 

ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?

ウィントン・マルサリスは本当にジャズを殺したのか?

 

 

 

新宿

 暑い。外は暑いのでクーラーを効かせた自室で、Apple Music をフルに活用して現代ジャズなんぞを次々と聴いていたら、やはりJBLでCDの音を聴きたくなった。暑いけど新宿のユニオンとタワレコへ行く。

 まずはユニオンの中古館。現代ジャズ、つまりグラスパー一派の中古はきっと纏めてコーナーを創っているのだろうという期待はあっさりと裏切られ、楽器別に一人一人調べることになった。だた、やはり、というか現代ジャズはまだCDで出回っていない。ピアノコーナーのグラスパーは一枚もない。たまたま目についたドラムのジョナサン・ブレイクが2枚、ギターのアダム・ロジャーズが2枚ほど、それにエリマージが見つかった。エリマージには相当魅かれたが全体的に販売価格が高めである。バップの名盤が1000円以下で容易に手に入ることに比べたら、やはり現代ジャズはまだまだ高い。品薄なのか、人気があるのか。まあ、需要に供給がおいついていないことは間違いない。

 ユニオンでは何も買わずにタワレコへ移動。グラスパーの来日記念盤3枚組ボックスセットとともにLive Today/デリック・ホッジが相当気にはなるが、まずは基本に忠実であろうと思い、グラスパーの3枚組を購入した。

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 AppleMusic のfor youで矢野沙織を初めて聴く。バックの演奏は安定しているけどサックスが物足りない、サックスが。

 平野義昌『海の本屋のはなし』読了。大和田俊之『アメリカ音楽史』少し読み進める。

 

 

ブラック・レディオ 日本ツアー・パッケージ

ブラック・レディオ 日本ツアー・パッケージ

 

 

海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録

海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録

 

  

アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)

アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)

 

 

 

 

Apple Musicはどの程度の高音質で聴くことができるのか?

 Apple Musicの契約をしてからというもの連日のようにアルバムをダウンロードしている。ダウンロードしたアルバムを聴くのが忙しくて夜も眠れない。本当は、音楽を聴き方を根本から覆すこの革新的なサービスの“意味”をじっくり考たいのだけど、情報量の多さに思考が完全に停止してしまっているという状態である。

 3000万曲を自由に聴くことができるようになったことはじつに衝撃的である。だが、いまのところ、このAppleMUSICでダウンロードした、もしくはストリーミング中の音源は、iPhoneで聴くか、あるいはBluetoothスピーカーで聴くかのどちらかである。この2つの方法で聴く限りは音質はCDからiPhoneに取り込んだアルバムとほぼ遜色はない。

 では、高音質オーディオでどれだけの音質を得ることができるのか、というのが次の課題である。やはり自宅のJBL4311から鳴らしてみたい、AppleMUSICの存在をしってからそういう思いがわき上がってきた。

 そこで、過日、オーディオショップに行って、わたしの自宅のシステムと同じ条件で(DENONのアンプとCDプレイヤーにJBL4311のスピーカー)、iPhoneにダウンロードしたAppleミュージックの音源を再生してもらってみた。デジタルミュージックを通常のオーディオで再生するにはDAコンバータというのが必要なのだがこれを買うとなると数万円をあらたに投資しなくてはならない。そこでまずは試聴させてもらったというわけ。

 結論からいうと、AppleMusicの音源はとても一般のオーディオでは聴くに、たえない。全体的にボワーンというメリハリのない音にしかならなかった。JBLよりも解像度の高いヨーロッパ系のスピーカーで聴くと少しは良くなったけど、やはり全体的なチープ感は拭えない。まあ、店員の話だと情報量がCDの10分の一程度というから、比べる方が無理なのだろうけど。

 それでも、iPhoneBluetoothスピーカーで聴く分にはそれなりに聴けるのだから、そんなものと割り切って聴くのであれば、やはり1ヶ月980円聴き放題は安い。

 ということは、AppleMusicの登場はCD販売とは、意外と競合しないのではないかと思う。いまだにCDを買うような「マニア」は、AppleMusicで“試聴”してから、そのうち本当に気に入ったものだけをCDで購入するに違いないからである。

Apple Musicにエントリーした

 7月に日本でもサービスが始まったApple Musicを先週契約してみた。iPhoneを8.4にバージョンアップして、早速エントリー。いつくかの些細な手続きを経てすぐに聴くことができるようになった。

 


Apple Music - Official Introduction Video - YouTube

 

 ビートルズが収録されていないということはネットでも話題になっていたが、一方ローリング・ストーンズはじゅうぶんにそろっており、まあそのへんは著作権関係の許諾の問題だろうか。すこし、いじってみたところ南米音楽や現代ジャズは問題なくそろっているように思えた。クラシックジャズもほぼ網羅さされている。パーカー、マイルス、アート・ブレイキービル・エバンスなど、コンプリートとは言い難いが、BLUE NOTEなどの有名盤はだいたいありそうだ。さらに、レニー・トリスターノやウォーン・マーシュなどのいかにも通好みのミュージシャンも、CDでは観たことのないアルバムなどが聴けたのは驚いた。いっぽうでアメリカ資本のサービスだからか、日本の音楽はあまりない。80年代歌謡曲も少ないし、ロックの名盤も見かけなかった。

 偏りがありつつも3000万曲を一ヶ月980円で聴き放題というのはとても魅力的だ。CDが登場してからこれまでコツコツと買い続けてきたアルバムがただ同然で手に入るのという事実を前に当初は思考が完全にとまってしまった。登録してから4日ほど経つが、毎晩眠れない夜を過ごしている。なんかトンでもないことが、音楽を聴くことの周辺で起こっていると思えるのだ。

   それはひとことで言えば、量から質への転換ということ。

創られた「日本の心」神話

 ずいぶん以前に買ったまま途中で放り投げていたこの本を読了。

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)

 

「日本の心」として人口に膾炙されている演歌が、「日本の伝統」ではないということは、そもそも「日本の伝統」などというフィクションを疑ってかかる最近の歴史研究(しばしばそれは歴史構成主義と呼ばれたりもするが)からすれば、十分想像できることであるが、本書はそのだれもが漠然と思っていることを、膨大な一次資料に頼りながら実証してみせたという意味で、意義は大きい。

 刊行してからすでに5年近くが経っている。この間、ブログやネットのレビューを見るとすでに各所で高い評価を受けているようだ。とりわけラッパーの宇田丸(と言っても、実はこのひとのことをよく知らないのだが)がラジオで紹介してから一気にその評価が高まったようである。


宇多丸が書籍『創られた「日本の心」神話~「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史~』を語る - YouTube

 

 著者によるとこういうことだ。演歌とは明治20年代に自由民権運動の文脈で現れた「歌による演説」を意味するものであったが、昭和40年代には音楽産業のひとつのジャンルであったレコード歌謡を「演歌」と言い換え、それが「知的な操作」を通じて「日本人の心」として再定義されてゆく。この両者は音楽的なつながりは、ほぼ、ない。演歌に特有のヨナ抜き五音音階は大正期にきわめて近代的な意識に基づいて生み出された和洋折衷の産物であり、さらに「こぶし」や「唸り」という特徴的な要素が現れるのは昭和30年代にはいってからであるとう。

 筆者は、この仮説を膨大な音源を渉猟することできちんと証明してみせ、さらにその時々の社会情勢、政治情勢のなかで、音楽産業と左翼運動の言説も目配せしながら「日本の心」が出来上がって行く過程を辿ってゆく。

 新書とはいえ、厳密な学問的手続きをふまえた論文である。

 些末な疑問を言えば、音楽に限らず芸術研究は対象への愛情がなくてはなし得ないと思うのであるが、1970年生まれの筆者が「演歌」とどう距離をとっているのであろうかということと、厳密な学術研究なのになぜ「ですます調」で書かれているのだろうか、という2つの点が気になった。

 ちなみに僕が永年信じていた「演歌=韓国からの収奪文化」説は、本書では否定されている。

  

Jazz The New Chapterのなかで最も気に入ったのはジャマイア・ウィリアムス

 現代ジャズをいいと思ったことがあまりないので、ちょうど連休で予定もないということもあって、この本を買ってじっくりと熟読してみた。刊行は2014年の2月だからもう1年以上まえの新刊なのであるが、いまでもタワレコなどのジャズコーナーに行くとしっかりと販売されている。 

Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平 (シンコー・ミュージックMOOK)

Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平 (シンコー・ミュージックMOOK)

 

 隣りには必ず、オムニバスCD版も陳列されており、ようするに書籍(ムック)を読みながらCDを聴けば、現代ジャズをおおかた把握できる、というわけである。

 

JAZZ THE NEW CHAPTER

JAZZ THE NEW CHAPTER

 

  ロバート・グラスパーをはじめとするコンテンポラリージャズについてはいろいろと思うところもあって、最近はようやく、グラスパーの作品を全部聴いてみようかという気にもなりつつあるが、それよりも先にこのCDを聴いてみて気になったが、ジャマイア・ウィリアムスというドラマーである。CDでは5曲目のクリスチャン・スコットというトランぺッターのアルバムに参加。規則正しくきめ細やかなリズムキープが耳に残った。

 ただ、本誌ではそのジャマイア・ウィリアムスにそれほど重きをおいて扱われている訳ではない。グラスパーのドラムが技巧的であるという話は以前から耳にしていたが、どうやらそれは別人。クリス・デイブやマーク・コレンバークの2人が大きく扱われているのみで、ジャマイア・ウィリアムスは索引にさえ、その名前が出てこないのである。

仕方ないのでネットでググってみたらこんなサイトを見つけた。

第13回 N.Y.の最先端を探せ!! - 「DJ 大塚広子の神保町JAZZ」 - ナビブラ神保町

 これを見る限りでは、結構有名な若手ミュージシャンの有望株のようで、来日もしている。ケニーギャレットとの共演がもっともジャズよりの活動で、あとは現代ジャズとかニューロックとか、そのへんの活動が目立つ。

 Jazz The New Chapterで収録されているアルバムのうち、クリスチャン・スコットのアルバムとともに、ジャマイア・ウィリアムスが参加しているのは、これ。

State of Art

 そのうちCDを買ってみよう。 

 

 

渋谷 マザーズ

 渋谷にブートの聖地があるというので、週末の仕事終わりに行ってきた。ハンズのもう少し先のビルの2F。店内は想像以上に雑然としていて店舗というよりも倉庫のよう。それでも、店員の話だとブルーノートあたりのライブにきた外国人ジャズマン買いにくるのだと言う。そういえば似たような話を名古屋・千種のブート屋でも訊いたことがあるのだが、日本はブート市場が発達しているのだろうか、と思いつつ、店内を見回すがそもそもどこに何があるかもわからない。いちおう「棚」らしきものはあるのだが素人がさわろうとすると積み上げている在庫が崩れかねない。希望のミュージシャンを言うと店員が在庫の山から引っ張りだしてくれるシステムらしい。昔の本屋の座売りのようなものか。

 ハービー・ハンコックやブレッカーやメセニーなどを10枚ほど試聴して、2枚だけ購入。